HowTo:使用方法・手順説明

更新日:2024-08-30

J-Memツールの使用方法


【回答】

J-Memは、ターゲットマイコンのコードROM、フラッシュ、内蔵SRAM、IOレジスタ空間のデータを簡単に確認できるGUIアプリケーションです。メモリ表示だけではなくメモリデータ・IOデータの変更も可能です。

実行手順:

STEP表示

ツールのダウンロード及びインストール設定:

J-MemツールはJ-Linkソフトウエアパッケージに含まれています。SEGGER 社のWEB ページ(以下URL)から最新版のJ-Linkソフトウエアをダウンロードしてインストールしてください。

https://www.segger.com/downloads/jlink#J-LinkSoftwareAndDocumentationPack

【HowTo参考情報】J-Link Softwareのダウンロード及びインストール手順


J-Memツールで出来ること:

  • 内蔵SRAM、SFR、IOレジスタ、Flashメモリ空間データの読み出し
  • J-Linkから書き込み可能なメモリ空間データの変更
  • データアクセスのサイズ変更(8-bit / 16-bit / 32-bit)
  • 指定範囲のメモリを特定データで埋める(Memory Fill)
  • 読み出したデータをバイナリファイルとしてPCフォルダに保存
  • メモリウインドウに表示するデータを周期的に更新

J-Memツールは以下の機能を使用できません

  • コアCPUレジスタのアクセス
  • ボード接続用の初期化コマンド設定
  • コンフィグレーション設定をプロジェクトとして保存
  • コマンドライン操作

Hardware Requirement:

J-Memツールをターゲットマイコンに接続するためにJ-Link、J-Trace又はFlasherモデル製品が必要です。ターゲットボード側のコネクタ仕様によりまして変換アダプタも必要です。

Connect Target

Device Support:

J-MemツールはJ-Link対応のすべてのマイコンデバイス環境で使用可能です。SEGGER 社のWEB ページ(以下URL)から各ベンダー様のマイコンデバイス対応の最新状況を確認してください。

https://www.segger.com/supported-devices/jlink/

J-Memツールの起動・設定方法:

J-Link / J-Trace本体のUSBポートをパソコンに接続します。J-Link / J-Trace本体のデバッグコネクタをターゲットポート・基板に接続します。※ボード側のコネクタ仕様が異なる場合は変換アダプタを使ってください。

ターゲットボードに電源を入れて、パソコンのスタートメニューからSEGGER J-Linkソフトウエアパッケージの「J-Mem」プログラムを実行します。

Start J-Mem

J-Memツール起動後に表示されるConfig(コンフィグレーション設定)ダイアログからターゲットマイコンデバイス環境の設定を行います。

  1. J-Linkインターフェース設定: パソコンとの接続がUSBケーブルで、J-Link / J-Trace / Flasher本体1台のみ接続する環境ではデフォルト設定の「Connection to J-Link: USB」で問題ありません。複数のJ-Link/Flasher本体をパソコンに接続(USB)している場合は、対象J-Link/Flasher本体のシリアル番号を指定して個別に設定可能です。
    LANケーブル接続でJ-Link PRO/Flasher本体をパソコンに接続する場合は、「Connection to J-Link: TCP/IP」を選択します。TCP/IP項目に対象J-Link PRO/Flasher本体のIPアドレス又は HOSTNAMEを指定します。J-Link Remote Server経由でのリモート接続も可能です。
    LAN setup
  2. マイコンデバイス設定:「Target device」項目の「…」オプションをクリックして、ターゲットボード環境に合わせてマイコンデバイス設定ダイアログからデバイス名を設定します。J-Memツールのメモリバイトオーダーは、デフォルト設定は「リトルエンディアン」モードですが、ビッグエンディアンモードのメモリバイトオーダー設定に変更可能です。以下は、RX64Mデバイスを選択する事例です。
    LAN setup
  3. デバッグポートインターフェース設定:ターゲットボード側のデバッグインターフェースケーブルのピン仕様を確認して、ターゲットマイコンとのインターフェースモード(JTAG/SWD/FINE/ICSP)を設定します。ArmコアマイコンデバイスはJTAG又はSWDを選択します。RXコアマイコンデバイスはJTAG又はFINEモードインターフェースをサポートします。「Speed」項目のオプション設定からデバッグインターフェースクロック(JTAGクロック、SWDクロックなど)を選択します。JTAGクロックのオプション設定:自動クロック、アダプティヴクロック又はマニュアルモードで固定クロック
    設定後に「OK」ボタンをクリックしますと、ターゲットマイコンへの接続後にJ-Memツールのメインウインドウに0x000000アドレスのデータ内容(8-bit単位)が表示されます。
    Debug port setupDebug clock setup
    マイコンデバイスの0x000000アドレス空間が標準メモリ領域ではない(Reserved、未使用など)場合は、「--」文字が表示されます。 以下は、STM32U575デバイス接続の事例です
    STM32 connection

J-Memツールの操作パネル:

ツールバーのアイコンボタン又はマウス右クリックのコンテキストメニューからJ-Memツールの操作が可能です。

Menu Setting

① Address Setup(Ctrl + G):メモリ表示を行うブロックのスタートアドレス(16進数)を設定します。

② Access width(Ctrl + 1/2/3):メモリアクセスサイクルのサイズ(1Byte/8bit、2Byte/16bit、4Byte/32bit)を設定します。例えば、「4」を設定する場合は、4Byte単位でメモリデータを読み出して32bitデータとして表示します。

③ Fill memory(Ctrl + I):このボタンをクリックしてダイアログから指定範囲のメモリを特定データで埋めることができます。メモリアドレス、サイズ、書き込むデータなど16進数値を入力します。

④ Save memory data:このボタンをクリックしてダイアログから指定範囲のターゲットメモリデータを読み出してバイナリファイルとしてPCフォルダに保存可能です。

⑤ Periodic Refresh(Ctrl + R):表示するメモリデータの自動更新を設定します

⑥ Copy:マウス又はキーボード操作でメインウインドウに表示されているデータを選択して簡単にデータコピーを行います。加えて、「Copy Special」コマンドでコピーするデータをASCIIテキスト、16進数データ、C言語の文字列式データ又はバイナリデータとして保存可能です。


【操作】メモリデータの自動更新設定:

「Periodic Refresh」オプション項目からインターバル時間を指定して周期的に表示するメモリデータの自動更新が設定可能です。設定可能な周期時間:100ミリ秒 / 200ミリ秒 / 500ミリ秒 / 1秒 / 2秒 / 5秒
「off」を選択する場合は自動更新を無効にします。

自動更新

【操作】メモリアクセスのサイズ設定:

ターゲットメモリ領域へのアクセスサイクルのサイズは以下の設定が可能です。

  • 1Byte:8bit単位でデータのアクセスを行います(ショートカットキーコマンド:Ctrl + 1)
  • 2Byte:16bit単位でデータのアクセスを行います(ショートカットキーコマンド:Ctrl + 2)
  • 4Byte:32bit単位でデータのアクセスを行います(ショートカットキーコマンド:Ctrl + 3)
Access Size Setup

【操作】メモリデータ編集・書き換え:

J-Memツール画面に表示されているメモリデータの編集操作が可能です。対象メモリデータにマウスクリックして直接データ入力によりデータの書き換えが出来ます。フラッシュROMメモリの場合は、J-Link標準対応のデバイスでしたらJ-Link内蔵フラッシュローダでフラッシュ領域のデータ編集操作も可能です。

Write Data

【操作】Memory Fill:

キーボードから「Ctrl + I」又はメニューアイコンボタンから「Fill Memory」ダイアログを開きます。ダイアログから以下の項目を設定(16進数データ)して「Fill」ボタンをクリックします。

  • 「Fill value」項目に埋めるデータ(8bit)を入力します。
  • 「Start Address」に埋めるメモリブロックのスタートアドレス値を入力します。
  • 「Size」項目にメモリブロックのサイズ(単位:Byte)又は「End Address」に埋めるメモリブロックのエンドアドレス値を入力します。
Memory Fill

【操作】Memory Save:

以下の手順で指定範囲のターゲットメモリデータを読み出してバイナリファイルとしてPCフォルダに保存可能です。

① メニューバーから「Target ->Save memory data to file」コマンド又はメニューアイコンボタンから「Save Memory Data」ダイアログを開きます。

② 「File」項目の「…」ボタンをクリックしてファイル選択画面を開きます。

③ 選択して読み出したデータを保存するファイル名、フォルダを設定します。保存可能データフォーマット・ファイルの種類:MOT、SREC、HEX、BIN、RAW、C言語文字列

④ 「保存」ボタンをクリックして「Save Memory Data to..」ダイアログを閉じます。

⑤ 「Start Address」に読み出しを行うターゲットメモリブロックのスタートアドレス値(16進数)を入力します。「Size」項目に読み出しデータサイズ(単位:Byte)又は「End Address」にメモリブロックのエンドアドレス値を入力します。

⑥ 「Save」ボタンをクリックしてデータ読み出し及びファイル保存処理を開始します。

Memory Save

【操作】Memory Copy:

以下の手順でJ-Memツールのメモリビューウインドウからマウス操作で簡単にクリップボードにコピーできます。

① メモリビューウインドウからコピーを行うメモリデータ範囲を選択します。

② マウス右クリックのコンテキストメニューから「Copy Special」コマンドでデータコピーのフォーマット(テキスト、HEXデータ、C言語文字列のHEXデータ、バイナリデータ)を指定します。

③ 「Ctrl + V」又はマウス操作で指定フォーマットのデータをテキストエディタに貼り付けします。

Memory Copy

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